ALSの夫と家の中での工夫

 夫がALSと診断された3月、長い距離はあるけなくて電車・バス通勤は無理なので、私が夫を職場に車で送っていけるように、職場から30分位の所に賃貸マンションを借りた。夫はシルバーカーを使っていたので、玄関はスロープがあり、エレベーターがついていて、部屋もできるだけバリアフリーになってる所にした。とはいえ、洗面所やトイレや部屋の玄関前等が8センチ位の段差があったのでスロープを置き、またお風呂は段差18㎝を乗り越えなくてはいけなかったので、トイレや洗面所やお風呂等必要な所にポールを立てまくって、夫が一人でいけるようにした。

 

 立ち上がりも段々困難になってきて低い椅子では立ち上がれないようになったので、高さが50㎝以上の肘掛け付きの椅子に変えたり、トイレの便座を補高便座をおいて高さを上げ、ベッドもマットを一枚余分にひいて高さを上げて立ち上がりやすいようにした。歩行が危なげなので、転倒防止のため、室内用の歩行器も買った。

 

 嚥下能力や発声能力や呼吸機能が落ちないように、二人でコーラスしたりもしている。私か夫が、童謡をキーボードを弾いて二人で歌うのだ。夫は手の動きが悪くなってるので、音符を間違うこともあるが、まだ食事もパソコンもトイレも一人でできるので、役立ってると思う。また、夫が手足の訓練をするのにいいかと思って、電動サイクルやアルインコのフィットネスマシンも買ってみたが、これは短時間だけにしないと疲れるようで、あまり使わなかった。

 

 夫は職場の理解(障害者トイレも作ってくれるそうだ)もあり、好きな分析の仕事を続けているし、ラジカットやリルゾールの他に色んな施術もして、進行が遅いと言われている上肢型だったためか、比較的進行は緩やかだ。1年後の3月には仕事を辞める事になるのではと、総合病院の先生は思っていたそうだけど、何とか大丈夫だ。最近はCS60やごしんじょう療法や乳歯幹細胞由来培養上清液の点滴のおかげもあって、一進一退を繰り返している。総合病院の検査で、呼吸機能が2月頃から2回下がったが、翌月には持ち直していたらしい。地域のかかりつけの医師は、ほぼ進行が止まっていると考えているようだ。

ALS発症前後にしてきた施術3(ごしんじょう療法)

 夫は去年の三月に診断された後、「ALS 治る」と検索して、唯一出てきたのが、ごしんじょう療法で受けてみたいと思っていたらしい。「ALSが治っている」という本を最近読んだけど、ごしんじょう療法でALSで改善した方が何人もおられるようで、シルバーカーで歩けた頃に、東京の貴田先生の所に治療に行っておけばよかったと思った。

 

 最近、ひょんなことから、ごしんじょう療法の先生とつながり、家に来ていただけるようになった。夫の体感としては、今までで一番効果があると感じたらしい。手の動きや足の動きがよくなったり、頭がすっきりしたりするようだ。CS60も同じような感じだけど、CS60よりも効いてるようだ。なので、ごしんじょう棒を購入して、私が毎日一時間位、夫の体をごしんじょう棒でこすっている。ALSは頭と側索を特に念入りにこすったりすればいいらしい。先生にごしんじょう棒の使い方を、レクチャーしていただいたし、体の悪い所がこすると赤くなり痛むので、そこを棒で押したり、何度もこすったりすると、邪気が抜けていくらしい。私は下手だけど、この頃夫の調子がまたよくなってきたので、効果があると思っている。

 

 詰めてするといいということで、先生の施術所に金・土曜と新幹線でいって、四回施術を受けてきた。詰めてというのは毎日することらしいけど、夫は仕事をしているので大型連休でないと、何日も行くのは難しそうだ。新幹線は多目的室という身体障碍者用の個室をとれたし、駅員さんが乗り降りの時に、夫が電動車いすのまま降りれるようにスロープをかけてくださるので、とても助かった。在来線でも駅員さんがスロープをおいて乗せてくださるので、夫一人でもその気になれば、行けそうだ。ただ、夫は身障者トイレに電動車いすのまま行けても、立ち上がるのが困難なので、今度は補高便座をもってきて便座を高くしてほしいと言っている。ホテルでも一人でベッドから起き上がったり、トイレで立ち上がるのは、大変なので、泊りがけだと一人でいくのは無理そうだ。でも、今ALSの進行がほぼ止まっているし、ごしんじょう療法には期待している。

 

 

ALS発症前後にしてきた施術2(CS60)

 それから、あるALSの方のブログに、CS60という施術が良いと書かれていたので、年明けから試してみることにした。比較的近くにあったので、行こうと思ったが、段差があるということで電動車いすの夫には大変なので、出張施術に来ていただくことにした。こられたのはすごく明るい女性で夫と気が合ったようだ。CS60は、器具で体をこすると体の悪い所が痛むので、そこを重点的にこすって電気をぬいていくというものだった。夫はこめかみや足等、痛い所が何か所かあったようで、うめいていたが、終わった後は足のつま先があがりやすくなったり、手が動きやすくなったり少し効果があったので、週一回来てもらうことにして今も続けている。ただ、CS60の先生に「解毒のために尿をだした方がいいので、水をたくさん飲んでください」といわれ、終わってから夫が水を沢山飲むと、その夜は何回もトイレにいくことになり頻尿になった。訪問リハビリをした夜も、必ずという位頻尿になるので、足のむくみがとれて頻尿になるのではないかと思っている。

 解毒やむくみがとれて頻尿なら仕方がないと思っていたが、4月位から頻尿がひどくなり、夜に6,7回もトイレに行く夜もあり、眠いのと尿がたまってることもあり、自分で起きあがれないので、ベルで家族を呼ぶのだが、夫は真面目な人なので、家族をたたき起こすことに大変な罪悪感を感じ、また頻尿であまり寝てないのに、仕事にいってたので、精神的においつめられていた。それまでは、ベッドで斜めになって反動を使って、大抵は自分で起きあがっていたのだ。ケアマネに自分で起きれるベッドのレンタルを頼んだ所、業者がリクライニングベッドを持ってこられて横にポールを立てていったが、夫は手の力があまりなく、ベッドを起こしても起きあがれないため、また落ち込んでしまった。それで、早急に頭がおき上がると同時に足の所も下がる、高価なベッドをもってきてもらった。マッサージチェアのような作りのベッドなので、これなら完全に座った態勢になり、そこから降りて歩行器や車いすに夫が自分でのることもできた。

 尿がたまってないのに、いつも尿意があるような過活動膀胱にもなっていたが、主治医に「座った時お尻が痛い」と相談したところ、漢方薬を出され、この漢方薬の副作用に頻尿とあったので、このためもあったのかもしれない。また相談した所、過活動膀胱と診断され、その薬もだしてもらって効いたのと、起きあがれるベッドが来たので、まだ頻尿はあるがよく寝れるようになり、夫も落ち着いてきた。

ALS発症前後にしてきた施術1

 夫は3年前位からの腰痛からはじまったALSなので、元々は整形外科に行っていたし、治すために4ケ所位、整体にもいっていた。一度、腰痛が少しましになったこともあったが、義母とのいさかいがショックだったのか、また悪化してしまった。段々歩き方もおかしくなり、帰りもよろよろと帰ってきていたが、それでも会社や整体に行っていた。神経ブロック注射をしたこともあったが、その時痛みがなくなるだけで、効果はなかった。

 神経内科に行き、ALSと発症されてからも、ある整体院だけは神経にも効く治療で、夫はよいと思っていたので、ずっと続けていた。でも、その整体院は3Fにあり、手すりをもって何とかよじ登っていたが、ALS診断後4ケ月で転落の危険を感じて、泣く泣くやめることにした。その先生が腕がいいと紹介してくださったのが、バイタルリアクトをされている整体院だったので、そこに行くことにした。バイタルリアクト以外にコアトレや五十肩の治療をすることになったが、その整体院は身体障害者対応ではないので通路は狭く、院長は強引な感じで、普段シルバーカーで歩いている夫は、部屋の移動にも素歩きさせられ、着替えもあまり手伝ってもらえず、待合室のいすは低くて立ち上がれないこともあり、大変なストレスを抱えていたようだったが、腕はよさそうだし、他に頼る所もなかったので、週二回半年位通った。ただ、駐車場が狭いし入れにくい等、色々大変だったし、週一回にしようとした所、威嚇するようなことを言われ、一度そこで転倒してからは夫は恐怖を感じていたので、やめることにした。それ以外には月2回だけ、女性の鍼灸師がされている鍼灸も通っていた。鍼灸の効果はよくわからなかったが、その女性は夫の話をよく聞いて、前向きにしてくださったので、カウンセラーとして優秀だったと思う。ただ、ここも行くのが大変だったので、同時期にやめて、家にきてもらえるものに転換することにした。

 年明けには介護保険を受けて要介護2に認定されたので、訪問リハや訪問介護(入浴)や訪問看護をいれることにした。みな良い人ばかりで、夫の話を楽しく聞いてくださったので、夫も喜んでいたし、私も、入浴介助や、ラジカットをする医院やリハビリスーツ「ハル」のリハビリをする病院以外の送迎がなくなって、楽になった。

発症3年弱のALSの夫の入院後の生活

 夫は1年前の4月の入院中から、リハビリロボットスーツHAL(ハル)でリハビリをさせてもらっていたので、入院後も週一回HALでリハビリするために総合病院に行くことになった。夫は仕事を続ける事を希望していたので、私が車で送迎できるように、会社から車でいける範囲の賃貸マンションを借りて、会社に行きながら、整体や近くの医院にラジカットに行っていた。ラジカットやリルゾールは正直効果がわからないけど、開業医の主治医の先生がいい方なので、仕事帰りにずっと医院まで送っていき、もう16クール目になった。

 

  ALSは体重が減少すると予後がよくないということで、お菓子も含めてできるだけご飯を沢山食べさせたし、毎日みそ汁や無添加の調味料を使う等、体に良い物をできるだけ出すように気を付けた。そのおかげか、半年後位にはいつもきれいな便がでるようになり、体重減少もなく、腸内環境や肝臓の数値がよくなってきていた。

 

 夫は自立心の強い人なので、手足が動きにくくても、お風呂も8月位まで頑張って自分で入っていたし、食事もMOMOという補助具を買って、今でも自分で食べている。夫は上肢型だったためか、進行は遅めで、退院して7ケ月(11月)位はシルバーカーで歩いて、自分で車に移乗していたが、寒くなって手足が動かなくなってきたためか、外では常時電動車いすを使うようになった。家ではいつも歩行器を使って歩いているし、トイレも段差があるがスロープをおいて、設置したポールにつかまりながら、何とか自分で行っている。

 

   ただ、この頃頻尿に悩まされるようになり、部屋にポータブルトイレをおいたので普段はそこでして、基本的には大便の時だけ、トイレに行っている。今の所、嚥下困難や、呼吸が苦しい等の症状はないので、ほっとしている。

令和3年3月に夫がALSと診断される

 夫は、3年位前から、まず、五十肩の痛みがあり、それは比較的すぐに治ったが、その後腰痛に苦しんでいた。整体院に3カ所以上いき、神経ブロック注射をしたり、整形外科でリハビリをしたりしたが、腰痛はいっこうに治らず、だんだんと歩ける距離が短くなり、歩き方が変になってきた。会社まで、電車とバスで1時間の所にあり、やっとの思いでたどりつき、診断される前頃には、帰りに駅から自宅マンションまでの150メートル程の距離も歩けず、タクシーで帰ってきていた。

 

 2年位前には、手の震えがあり、神経内科を紹介されたが、本態性振戦と診断され、薬を出されたが、効かなくて、薬も飲まないので、そのうち私が行くのをやめてさせてしまった。有名な整形外科に行っても、異状なしということで、あまりにどこに行っても、腰痛が治らないので、神経内科の病気ではないかということで、以前に行っていた神経内科にかけこみ、あまりに歩けない窮状を訴えた所、医師が検査してくださって、CK(筋肉が壊れていく速度がわかるものらしい)の数値が異様に高いということで、総合病院で検査することになった。すると初診日とその二日後の検査で、ALS(疑い)と診断され、4月にはラジカット投与のために、仕事を休んで、入院することになった。コロナ禍で、入院中は面会謝絶で夫は暇でしかたがなく、病棟内を歩行訓練しようと歩いていると、「転倒すると危ないので、シルバーカーを使ってください」と看護師に怒られ、シルバーカーでぐるぐると回って歩いていたらしく、前向きなことに医師が感心していたようだ。